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Pとこの一冊 第10回 お姉ちゃんP「廃墟建築士/三崎亜記」

初めましての方は初めまして。
ご存知のかたはこんにちは。
1107Pのお姉ちゃんPと申します。
普段は主にノベマスを作り、たまにPVなんかも作っております。

私がおすすめしたい本はこちら。
三崎亜記「廃墟建築士」です。

No10 お姉ちゃんP用


内容は短編小説四篇なのですが、私はこの本のあらすじをばっさりと説明できるほどの日本語力を持っていません。
あらすじをそのまま書くのは簡単です。しかし「お前は何を言っているんだ?」と聞き返される可能性がとても高いです。
それでも書かなきゃダメなものでしょうか。いやダメですか、そうですか。
じゃあ、とりあえず二編だけあらすじを書きますよ。

・七階闘争
 →建物の七階で起こる事件を無くす為に七階を無くそうとする行政と、それに立ち向かう人たち。
・廃墟建築士
 →国の文化的遺産である廃墟を建築する建築士と、人が住んでいる「偽装廃墟問題」の行く先。

という感じで、「いまなんて?」と聞き返したくなるストーリーです。
はっきり言ってしまえばすべて「ファンタジー」であると切り捨てることができます。
しかし、よくよく考えてみれば実際にないことではない、と考えることもできる。
設定を前提条件としてどの程度受け入れ、どの程度噛み砕いて理解するのか。
これを笑ってもいいし、深い人間ドラマであると受け取ってもいい。

この作家はあまり有名ではありませんがこういう作品を多数書いていて、
「定められたルールに則った上でバスジャックをする」
「ゴーストタウンの中で歩道を歩道として定義づけるために道を歩く歩行技師が存在する」
「赤道上に発生した鼓笛隊は次第に勢力を弱めながらマーチングバンドへと転じる」
「となり町との戦争のお知らせ」
などなど一文抜き出して聞くと全く意味がわからない、そして通して読んだ上でも全く意味がわからない「存在」が多数あります。
分かるのはその物語自体はフィクションであること、それだけであり、こちらがどうするかというのはまた別の問題。

ただこの作家の作風には個人的に好きであると思う点が二つ存在します。
まずひとつ、
「仮に題材を入れ換えたとしても話として出来上がっていること」
これは小説として形作ることとしての宿命ではありますが、とくに二次創作を扱っている場合は、
案外問題にしている方が多いのは、「このキャラでやる意味がない」であるとかそういう問題。
自分としてはキャラクターは入れ物で、それは入れ替えても成立できる。
誰にでも起こるときにはそういったことが起こる、といった認識を持っていて、
必ずしも絶対この人でないと解決できない、ということはありえないはずです。
というより、そういう考え方を持ってしまうと人生が辛くなります。
自分じゃできない事があまりにも増えすぎます。
方法論であったり、運命であったり、そういったことを綴るために絶対はないのです。
スポーツマンガであっても、必ずしも「テニスでないと」「バスケでないと」起こり得ない、という筋はないはず、なのです。
だから、逆説的に、「話としての価値」がある。

ふたつめに、
「既存の存在に対して違う定義付けをする試みを行うこと」
これは哲学的な問いではありますが、常に我々が意識し続けないといけないことでもあります。
たとえば我々は推理小説を書くとして、人をナイフで刺して殺しました、と書いたところで、
そこに問いが発生することはありません。
冷凍ブロッコリーでぶん殴って殺しました、と書くと一斉に何があったのかと。
緑色のモサモサしたやつが飛び散りやしないかと。
カリフラワーではいけなかったのかと。
あんな柔らかいもので殺せるのかと。
犯人はシェフかと。
確認したいことが山のように出来ますし、書く側としてもそれだけ思いつけば山ほど埋めることができます。
あるいは、そもそも殴って殺したのではないのかもしれません。
冷凍ブロッコリーを喉に詰めて殺しました、とすれば、
起きているときに詰められたのか寝ているときに詰められたのかと。
普通食べるときに気づかないかと。
ネタはいくらでも出てきます。
どれもこれも出発点は、「ブロッコリーは普通殺害に使わないから」です。
当たり前のことを言っていますが、当たり前のことこそ一度立ち止まって考えてみる、
ということが必要なことであり、小ボケにも通じ、細かいディテールを表すのにも通じ、
更には作品全体のテーマにも通じる万能な思考だと思っています。
(なんだったら、私のようにP名にも使えるかもしれません)

さて、めちゃめちゃ長くなってしまいましたが、「廃墟建築士」、今大変買いやすくなっております。
昨年9月に集英社により文庫化されたからです。
普段小説を読み慣れている方は、まぁ短篇集ですから小ボケを見ると思って。
読み慣れていない方も、この作家独特の「これはこういうことです、どうぞ受け取ってください」と
言われてなんとなく受け取って一篇読んじゃうふわふわ感に浸ると思って。
読んでみると楽しいのではないかと思います。
乱筆ながら、お付き合いありがとうございました。

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Author:お姉ちゃんP

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