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Pとこの一冊 第14回 DAT3P「センネン画報/今日マチ子」

はじめまして、DAT3Pと申します。PVと、ときどきノベマスを投稿している者です。


私が今回紹介する本は、今日マチ子さんの「センネン画報」です。

No14 DAT3P用


「センネン画報」は、今日マチ子さんがブログでほぼ毎日描いている『風景と叙情の1ページ 漫画』をまとめたもの。今日マチ子さんの1ページ漫画は、きれいな淡い色が特徴的です。1ページの中には、いつも水色が見えます。私は、その色をさっぱり晴れた空の色ではなく、揺らめくような水の中の色という印象を受けます。



風景とは、目に映る広い範囲のながめ。ある場面の情景・ありさま。
叙情とは、自分の感情を述べ表すこと。

感情を表すには、なにかしら言葉が必要なことが多い。だけど、この本には言葉が少ない。あるのは、風景と少女と少年。ユーモアと痛みと水色。風景の中に、ないはずの言葉や感情が見える気がする。そのままの行為がなくても、「ああ、そういうことね」とわかる。なんだかわかってしまう。タイトルからは想像できないことも最後にはタイトルで落ちる。言葉の意味を目で読む漫画なのかなと思っている。それはすごく面白い。


私がこの本を買ったときに、「これは、毎日1ページずつ読めば素敵なのでは」なんて思ったけれど、ページをめくればそのまま最後まで読み耽ってしまう。『感動する』は、ない漫画だと思うけれど、心は揺すぶられる。何度も『ああ、いいなぁ』が味わえる。青春のきらきら・切なさ・残酷さが詰まっている。そのほかにも感じ取れることはたくさんあると思う。「こんな青春だったらいいのに」と思えない青春もある。でも、「こんな切ない感じも嫌いじゃない」と私は思う。


「センネン画報」はいままでに2冊出ています。「センネン画報」には2005年から2007年くらいまでの作品、「センネン画報 その2」には2008年から2010年までの作品が収録されています。2冊とも描き下ろしの長編漫画も収録されています。「センネン画報」は、最初の32ページまではカラー。そのあと扉絵以外はカラーではありません。『その2』の方は、オールカラーです。読んだことのない方におすすめするならば、こちらをぜひ。だけど、最初に出た方に収録されている漫画ももちろん素敵です。私は、「センネン画報」に入っている『空を撮る』が大好きです。


誰かに本を贈るなら、この本を選ぶと思います。そのくらいこの本のことが好きです。水色が好きなひとや気になるひとにぜひおすすめしたい本です。


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Author : DAT3P

公開マイリスト
DAT3P:http://www.nicovideo.jp/mylist/33431673

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Pとこの一冊 第5回 ハバネロP「ARIA/天野こずえ」

初めましての方は初めまして、そうではないかたはこんにちは。ハバネロPです。
初めましての方向けに軽く自己紹介をさせて頂きますと、08年の1月にニコマスデビューして以来、疑似m@sや手描きイラストを用いた紙芝居PVをメインに色々な動画を作っています。
……というわけで、よろしくお願いします。


今回「Pとこの一冊」で私が選ばせてもらったのは、天野こずえによる漫画作品『ARIA』です。
No5 ハバネロP用
僕は小さい頃から本が好きで、小説、漫画などジャンルを問わず色々読み漁って来ました。
そんな中で、最も僕に影響を与えた作品がこの『ARIA』になります。


まずは、この作品についてかるく概略を説明するところから始めたいと思います。
この作品は、マッグガーデンから発刊されている雑誌「コミックブレイド」に2001年から2008年まで連載されていました。単行本は全12巻が発売されています。
また、その前日譚が『AQUA』というタイトルで単行本2巻にまとめられています。
本稿では、『AQUA』『ARIA』両方を一つのシリーズとして紹介して行きたいと思います。
(なんで2タイトルあるのかについては、「マッグガーデンお家騒動」で調べると分かるかと思います)

舞台となるのは、テラフォーミングが完了した2300年代の火星。
その過程でゴキブリ怪人との壮絶な戦いがあったかどうかは知りませんが、作中では火星のテラフォーミングは無事に成功し、水の惑星「アクア」と呼ばれるようになっています。
そんなアクアの入植地のひとつが、地球のヴェネツィアを町並みや風習まるごと移植した街ネオ・ヴェネツィアです。
ヴェネツィアと言えばゴンドラによる観光案内が有名ですが、ネオ・ヴェネツィアにもそれは引き継がれています。ただし、実際のヴェネツィアでは男性が観光案内を務めるのに対し、ネオ・ヴェネツィアでは「水先案内人(ウンディーネ)」と呼ばれる女性たちがこの業務に携わっています。
本作は、そんな水先案内人を目指す少女・水無灯里を主人公に、ネオ・ヴェネツィアの四季折々の行事やちょっとした日常のできごとの中における、少女の心の動きや成長を丁寧に描いた作品です。アニメ化もされており、3シーズンに渡って全52話が製作されました。


僕がこの作品に出会ったのは、アニメ第二期にあたる『ARIA the NATURAL』をたまたま見たことがきっかけでした。そしてその出会いはそもそも、全くの偶然によるものでした。ある日高校から帰って、録画しておいたアニメを見た後、そのままビデオテープを流しっぱなしにしていたら別のアニメが始まりました。それをなんとなく見ている内に、「あれ、この雰囲気結構好きかも……?」と思い始め、本編が終わる頃には「いい話だった……」とすっかりご満悦。そのアニメこそが『ARIA』だったのです。
(ちなみに録画されていたのは母の仕業だったと後に判明しました)
そして、アニメを見るのが週に一度の楽しみになり、原作漫画があると知って購入し、アニメと連動して放送されていたラジオの方も聞き始め、サントラを購入し……と、完全にその世界の虜になっていました。
周りにこの作品を知っている人が全く居なかったため、ネットの海を彷徨ってARIAファンの交流サイトを見つけ、そこでチャットしたりするのも当時のひそかな楽しみでした。
一つの作品にどっぷりとハマり、そしてそれによって誰かと繋がれる、という経験を与えてくれたことは僕にとって大きな意味を持っていると言えます。


そうした個人的な体験にまつわる思い入れも勿論大きいのですが、何よりも作品そのものが素晴らしかったことと、そこから自分自身の考え方に与えられた影響の大きさ、というのがこの作品を今回紹介した主な理由になるでしょう。

先程も述べた様に、この物語の中で大きな事件は全くといっていいほど起きません。
ネオ・ヴェネツィアの様々な行事や、水先案内人としての仕事の中で出会う人々、あるいは共に水先案内人として頑張る友人や先輩達、そして何よりも穏やかに過ぎていく日常の中で起こるちょっとした出来事。
そういった色々なものが、成長していく主人公・灯里の目を通して映し出されると、何だかとても素敵なものに見えてくるのです。
この作品を初めて読んだ頃、僕は受験勉強に追いかけられる日々を過ごしており、毎日しんどいことばっかりだなーと思っていました(今思うとなんて甘ったるいことを考えてたんだって感じですが……)。
でも、この作品に出会ったことで、少しだけ考えが変わったと思います。
日々しんどいことも沢山あるけれど、気づかないだけで素敵なことも沢山隠れているんじゃないだろうか。
むしろ辛いこともしんどいことも、楽しいことを引き立ててくれる存在なんじゃないか。
そう思えるようになったのは、僕がこの作品から貰った大きな財産のひとつだと思います。


「普段は気づかないけれど、日常の中に素敵なものが沢山ある」
「そしてその日々を、今を楽しむこと」
この二つのテーマこそが、『ARIA』という作品の柱として存在していると僕は思うのです。
それをがっちりと支えているのが、繊細で美しい情景描写と、キャラクターの魅力であると思います。

前者については、実際にコミックスを手にとって体験してほしいところ。
ネオ・ヴェネツィアの街の風景の克明な描き込みと、四季の移ろいを描いた背景描写。
そして、見る者の感情をもぐいぐい揺さぶってくるキャラクターの表情。
そのふたつによって、まるで読んでいる僕らも実際にネオ・ヴェネツィアの街で、登場人物たちと同じ物を見ているような感覚が味わえます。
特に、各話にほぼ必ず入っている見開きの大ゴマはこの作品の真骨頂と言うべきでしょう。まるで美しい一枚の絵画のような迫力に圧倒され、あたたかな感動を見るものの心に呼び起こしてくれること請け合いです。
あとネオ・ヴェネツィアの色々な年中行事がどれもこれも楽しそうなんですよね。
作中で描かれる行事は現実のヴェネツィアでも実際に行われているものなので、是非一度でいいから実際に街を訪れて生で見てみたい、というのは僕の長年の夢であったりします。

後者については、キャラクターのビジュアルもさることながらその心情描写の上手さが光ります。
これに関しては、作者の技倆による部分が非常に大きいと思います。
『ARIA』にハマって以降、天野こずえの漫画は絶版になっているもの以外は全部読み漁ったんですが、どの作品を見ても、表情のみならずアングルや背景描写まで含めた「感情の表現」が凄く良いんです。
喜怒哀楽は勿論、微妙な感情をもきっちりと拾い上げて絵にしてくれる。だからキャラクターに思いっきり感情移入が出来る、そういう作品づくりをされているのだと思います。

そんな感情描写を補強してくれるのがセリフ回しの上手さ。
『ARIA』という作品は、名言を集めるだけで一冊の本が出来るくらいだったりします。
名言といっても「剣を握ったままではお前を抱きしめられない」的なオサレなものではなく、まっすぐな感情を素朴かつ純粋に切り取った言葉で書かれているものばかりです。
だからこそ言葉が、心にストンと落ちてじんわりと沁みこんで来るんですよね。

「何回転がしても その度にどこからともなく現れて 
一緒になって楽しそうに雪だるまを大きくしてくれるの
……子供の頃気がついたんだけどね

その時ふと思ったのよ こんな大人になりたいな――ってね」

そんな数ある名言の中でも、お気に入りといえばこれでしょうか。
主人公である灯里の先輩に当たる、アリシア・フローレンスの台詞です。
作中でも屈指の名言メーカーであり、その穏やかな物腰、水先案内人の仕事に対するプロフェッショナルな態度、なによりも身の周りの森羅万象を優しく素直な態度で受け取るその姿に、作中のみならずファンからもさん付けで「アリシアさん」と呼ばれてしまうそんなキャラクター。
僕もアリシアさんの在り方、生き方からは多大な影響を受けました。
僕が『ARIA』から受けた影響の何割かは、アリシアさんの存在なくしては無かったのではないでしょうか。

上に挙げた台詞は、そんな中でも特に個人的に印象深いものです。
この言葉に触れて数年が経ちましたが、僕は果たしてそんな大人になれているのでしょうか?
少なくとも、誰かが楽しそうなことしてたらとりあえず何か手伝ってみようか、という精神は培われたように思います。
現に今も、「なんか面白そうな企画あるから僕も参加してみよう」と思ってこの原稿を書いている訳ですからw
そもそもニコマスPになったきっかけも、そんな理由でしたっけか。
なんだかんだで、この作品から貰ったものはちゃんと僕自身の中で息づいているみたいです。


最後にもう一つ。
そういった部分もさることながら、『ARIA』という作品が最も評価されるべきところは「ひとが日々の中で成長、変化していく」という姿を真っ向から描いていることにあると思います。
この作品は、女の子をメインに日常の風景を描く、所謂「日常系作品」に大別されます。
そうした作品について、「成長のない箱庭空間」であるという批判が寄せられることがしばしば起こります。
あるいは逆に、「変化」によってゆるやかに動いていた物語が急展開を見せることに対しても批判的な意見が投げつけられることも起こり得ます。
『ARIA』もその例外ではなく、作品の完結とそれに向かう展開については、ファンの間でも様々な意見が飛び交いました。
しかし、それに対する僕のスタンスは当時も今も変わりません。
日常を描くのであれば、そこで起こる成長や変化を避けて通ることは出来ないのだと思います。
変わらない穏やかな日々、いつもの仲間がいる風景。そうしたものが、永遠に続くことはありません。
だからこそ、そうしたものがある「今」が大切なのだということを最後まで貫いて物語を描ききったことが、この作品の素晴らしさをより高めていると、そう思います。

そんな『ARIA』という作品のテーマそのものを表す台詞を紹介して、この原稿を締めたいと思います。

「今――楽しいと思えることは 今が一番楽しめるのよ
だから いずれは変わっていく今を
この素敵な時間を 大切に ね」 

長い長い文章に最後までお付き合いいただいて、ありがとうございました。
これをきっかけに、ページの向こうにあるネオ・ヴェネツィアの街を訪れる人が少しでも増えますように。

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Author:ハバネロP

動画倉庫“幅音露堂”(公開マイリスト): http://www.nicovideo.jp/mylist/3683867

Twitter @habaneroP

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Pとこの一冊 第4回 アゥP「ぼくらの/鬼頭莫宏」

中学生になった時、

ぼくらはもう一人前で
自分でなんでもできると思った。

ぼくらは
泣いたり笑ったり怒ったり
もう、この世の中のことは
ほとんど知った気になっていた。

でも本当は父や母に守られ
社会に守られているただの子供だった。

本当の悲しみや喜びや怒りは
そんな日常にはなかった。

それを知ったのはぼくら15人が集まり
そして、

あれ、

あれに出会ってからだった。

鬼頭莫宏『ぼくらの』1巻より



皆様こんにちは。アゥPです。
普段はPVを作る傍ら、「ニコマスとP」というブログで、プロデューサーへのインタビューや「Pとこの一枚」などの企画を行っております。

さて今回私が取り上げるのは、鬼頭莫宏による漫画『ぼくらの』です。

No4 アゥP用


ニコニコ動画的には『アンインストール』が主題歌のアニメの原作、と言えばわかる人も多いのではないでしょうか。

この漫画は大別するのであれば「ロボット漫画」に分類されます。

突如現れた謎の敵!
それに立ち向かう謎のロボット『ジアース』のパイロットに選ばれたのは、年端もいかない15人の少年少女!

1巻の内容の8割を2行で表すとこうなります。ここだけ見るとよくありがちな王道ロボットものかとお思いになることでしょう。
しかし、残りの2割こそが『ぼくらの』のテーマなのです。


【本当ならば全く予備知識のない状態でこの漫画を読んでいただくのが理想なのですが、内容について語る上でやむを得なく多少のネタバレを致しますのでご了承ください。】


物語が進むにつれ、この戦いに仕組まれた残酷なルールが明らかになってきます。それは、

『ジアースは一戦闘駆動するかわりに操縦者の命を奪う』

そして

『戦いに負けたり、勝負がつかず48時間経過すると、地球は破壊され地上の全生物が滅亡する』

というもの。

つまり、「戦闘に負ければ地球は滅亡するが、勝敗に関わりなく操縦者は死ぬ」。
自己の防衛が戦う理由にはならず、他者のためだけに犠牲になるということに他ならないのです。
そういった意味では、この漫画は非常に趣味の悪い漫画と言えるかもしれません。

しかし、この漫画はただの趣味の悪い漫画ではないのです。

この事実を突き付けられた少年達は、否応なしに自らの境遇に向き合うことになります。
そして、ときに間違いを犯すことがあっても、少年達は自分たちの答えを出して、戦いに赴く。

つまり、この漫画では『死に向かう』少年達を描くことで、『生きる』ことが描かれているのです。


またここではネタバレを伏せますが、先に挙げたルールに加えて、作中でもう一つ残酷な真実が明らかとなります。
そしてそれもまた、この漫画の大きなテーマの一つであり、作中の言葉を借りるのであれば

『生きている業と責任を背負う』

ということを描いているように思います。
この言葉の意味については、漫画を手に取って読んで知ってほしいと思います。

私は高校時代にこの漫画に出会ったことで、自身の考え方に大きな影響を受けました。
『今生きている意味』について、この漫画を初めて読んだあとで深く考えたことを覚えています。
非常に重いテーマの漫画ではありますが11巻と短めなので、もし機会があれば一読してほしい漫画です。

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

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Author : アゥP

制作物(公開マイリスト): http://www.nicovideo.jp/mylist/27832222

Twitter @AuP_1109

Blog ニコマスとP : http://aup1109.blog.fc2.com/

「ニコマスとP」では、「Pとこの一冊」の原点ともいえる企画である「Pとこの一枚」が行われております。
私 真人間Pも、先日寄稿させていただきました。是非こちらもご一読ください。
(「Pとこの一枚」だけでなく、プロデューサーインタビューや対談などもやっておられます。そちらも是非!)

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Pとこの一冊 第3回 薄荷風味P「クッキングパパ/うえやま とち」

寄稿にあたって、僕が大切にする一冊(1シリーズ)ってどれだろう、と考えた。
最初のお二方が活字だったので、僕も活字ものでちょっとカッコよくいきたいな、それなら「燃えよ剣」とか「岳物語」あたりは書けそうだな、とか、でも大切にしている一冊とはいえないからせめて「パパ聞き」とか「護くん」とかじゃないだろうか、とか。

ところが。いざ書こうとして筆を執ると、内容を思い出せないのだ。
いや、楽しかったし、心に残るものがあるシリーズだったし、生き様のカッコよさとか芯の強さとかあったじゃないか、と文章を書き起こしてみたのだが、やはり駄目。
記憶を無理やり引き起こして「大切な」一冊たりえるだろうか。否、ただの虚栄ででっちあげることだけはどの本も教えてくれなかったじゃないか、と気づく。


だから、僕はカッコつけるのをやめることにした。

No3 薄荷風味P用2


僕が「大切に」する一冊(……というには多すぎる)シリーズは「クッキングパパ」だ。
現刊行冊数にして122巻。ウチには全巻ほぼ初版で揃っている。第一回の掲載が1985年で、当時、僕は生まれてすらいなかった。

物心ついたときには、その赤い背表紙がずらりと本棚に一列揃っていた。一回目の料理だった「イタリアン鍋」や初期に登場する「いそぎんちゃん」なんかを食べて育った。

僕が荒岩家の息子、まことを追い抜いたのは中学生のときだ。本棚の赤い背表紙はいつの間にか2列になっていた。
その頃になって、僕もクッキングパパを読むようになった。

まことが中学を卒業する頃、僕も高校を卒業した。大学に入って、アルバイトしながら、漫画以外のレシピも読むようになった。

就職して一人暮らしして、失敗して、地元でもう一度就職したときにはもうまことが大学生になっていた。本棚は5列ほど、赤い背表紙で埋まっていて、変わらず荒岩家は荒岩家だった。
そして今、僕はレシピを見ながらその味を想像するまでにいたった。

つまり、僕の人生は、傍らに荒岩家があったと言っても過言ではなかった。

さて、どれだけ大切な本かということを語った上で、この本の魅力について改めて考えてみた。

まずひとつが、主要な登場人物がコレだけの年数を経て、まだ増え続けることだ。家族の誕生だけでなく、少しずつ交友関係が増えて、その輪を大きくしていく。かといって新参の読者が入りづらいわけではない。

ふたつめが、バトルものではないという点。料理というと、同じく長期連載の「美味しんぼ」や「ミスター味っ子」「華麗なる食卓」、最近始まった「食戟のソーマ」、あるいは実写の「料理の鉄人」など、バトルをすることで盛り上げる風潮があることは否めない。読者がわくわくする展開を望むのなら、料理という地味なジャンル故、そうせざるを得ないということだ。
それをしなかった料理漫画は「味いちもんめ」と「クッキングパパ」くらいのものじゃないだろうか。
料理は人を笑顔にする、それを体現する漫画、と言える。

もうひとつ。緩やかではあるが確実に経年していることも忘れてはいけない。息子や娘が成長し、主任だった彼が係長、課長と昇進する。普通長寿漫画といえば、サザエさん時空に囚われていつしか成長しなくなるものだが、この漫画にそれは来ない。たぶん、きっとこれからも。


ただのレシピブックという読み方もあるだろうが、もし目を向けられるのならば、一度通して読んでみることをお勧めしたい。
そこに荒岩家は息づいていて、成長を続けていて、彼らを取り巻く喜怒哀楽がきっと心を豊かにしてくれるだろう。僕がそうだったように。

new_No3 薄荷風味P用

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Author:薄荷風味P

あずささんの迷い道天国(公開マイリスト): http://www.nicovideo.jp/mylist/32417852

Twitter @Mint_FlavorP

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プロフィール

真人間P

Author:真人間P
「Pとこの一冊」寄稿者募集中
開催期間 4/19~5/25
詳しくは、「寄稿について」参照。

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